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きっかけは映画館
第38章 きっかけは映画館


麻里絵ちゃんと裕司の数年間に負けない想いを持っている。
短くても深く濃い時間を共にしているはずだ。
そんな風に自分に言い聞かせていた。


いよいよ本編が始まる。ストーリーは頭に入っている。

付き合っている相手とそれぞれ別れた男女が出会い恋に落ちる。

デートをして、毎日連絡を取り合って、恋の始まりにお互いウキウキしていた。

年齢的に彼女彼氏が居ておかしくない二人は、互いの過去を探り合ってしまう。
気にしないと言い合って打ち明けあったのに、元彼元カノの存在が二人の恋に影を落とす。

『だったら、初恋同士しか上手くいかないってことになるよね。』

自分が言った言葉が降りかかってくる。


『相性はいいと思うよ、繋がってしまえばはっきりするけど…』

俺はそう言ったが、そして麻里絵ちゃんと体を繋げてはっきりしたけど、麻里絵ちゃんはどうだったんだろう。

思わず包むようにしていた手に力が入り、麻里絵ちゃんの手を握ってしまった。

すると、麻里絵ちゃんが傾き、俺の肩に頭を乗せてきた。


可愛い…麻里絵ちゃん、間違いなく俺は君を愛しているよ。誰にも負けないほど愛している。

発せられない想いを指に託して、麻里絵ちゃんの手の甲をくるくるとなぞった。


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