- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
きっかけは映画館
第38章 きっかけは映画館
「ヒジオのご飯を毎晩ありがとうございます。」
知らないうちに思いが言葉になっていた。
「ちなみに麻里絵ちゃん、ヒジオってのは、副長のアダ名かい?」
「えっ…はい…」
「ひじかた ひさお からヒジオか?」
「い、いえ…映画館で、肘を突きだしていたからヒジオで…」
「そしたら、たまたま名前もヒジオだったか…」
「は、はい…」
「でもさぁ、そのうち、父ちゃんとか親父になっちまう訳で、名前で呼びあうなんて今のうちだけだ。ちゃんと名前で呼んでやりなよ。」
「え…はぁ…」
「副長だって、ちゃんと名前で呼んで欲しいだろ?」
「そ、そりゃね。」
「ほら、麻里絵ちゃん、呼んでやんな?」
「え…ヒサオってですか?」
「ちゃあんと知ってるんじゃねぇか。」
「は、はい。」