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きっかけは映画館
第38章 きっかけは映画館
ずっと麻里絵ちゃんに言いたかったことをあっさりおやっさんに言われてしまう。でも麻里絵ちゃんは、おやっさんとの会話として俺の名前を出しただけで俺を呼んでくれた訳ではない。
そして麻里絵ちゃんは何やら考えているようだ。
おやっさんがグイグイ押しすぎだろう。
勝手に結婚する話なんてするから、麻里絵ちゃん戸惑っちゃったんだろう。
料理は焼き鳥から海鮮焼きに変わり、ホタテや海老が焼かれて、これはこれで芳ばしい匂いが立ち込めてきた。
「ん〜、美味しそうな匂い。匂いだけでお酒が進んじゃうね。」
考え事をしていた麻里絵ちゃんが、目を輝かせて炉端を覗き込んで言った。
「うん、とにかくおやっさんの料理はハズレがないから。」
「そりゃ、活きのいい素材を網に置くだけだからな。」