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きっかけは映画館
第39章 おフランス
「あの…話は変わりますが、フェアの事はどのくらい決まったのでしょうか?」
晃君が話を元に戻そうとする。
「鞄の方はほぼ正式発注を掛けるだけ、スイーツの方は立花女史が直々にヨーロッパに行ってくださって契約交渉が始まるの。」
「レイアウトもいくつか候補がまとまって、直に部で会議にかけられるところまできました。」
麻里絵ちゃんがいきなりシャキっとして答え、優希ちゃんが続く。
そのまま真面目路線で話は進み料理とお酒が進んだ。
「うちの局の昼の番組で面白い場所を紹介するコーナーがあるのご存知ですか?」
晃君の言葉に麻里絵ちゃんがきょとんとしている。
「晃…それってそこでフェアを紹介してくれるってこと?」
「あ、ああ、俺はその番組には携わってないんだけど、毎日の番組だろ。
だからネタ切れにならないように、社員全員に企画を募ってるんだよ。」
「それで?」
「オープンはまだ先だけど、エントリーしたらどうかと思って…」
「へぇ〜、麻里絵ちゃん、もし番組で紹介されたら凄い宣伝になるね。」
「部長に聞いてみてからの返事で間に合うかしら。」
「そりゃ、全然大丈夫ですよ。ただ、通ったら、こんな風に紹介して欲しいとか、リクエストを出してもらったり、数回打ち合わせがあるんですけれど…」
「番組になるとしたら、オープン後、1週間以内が効果的だね。」
俺が言うと麻里絵ちゃんが頭を抱える。
「そうすると打ち合わせやリクエストって直前準備の一番大事な時になるわよね。」
「麻里絵ちゃん、人手不足なら、俺がやるよ。」
「そしたらヒジオ業務外じゃない。」
「いや、いつもフェアって協賛としてうちの社名も入れてもらってるからさ、うちの宣伝にもなるし、全然業務内だよ。」
「じゃ、じゃあ、それも含めて部長に確認してみます。」