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きっかけは映画館
第39章 おフランス


「とっても有意義だったけど、仕事の話はもうおしまい〜。」

と優希ちゃんが宣言する。

「じゃあ…」

と麻里絵ちゃんが口火を切った。

「優希ちゃんと晃君は結婚の準備とか進んでるの?」

やっぱり麻里絵ちゃんが結婚にこだわり始めたということでいいのだろう。
それは俺と?と思っていいのかな…

と、あくまで優希ちゃんカップルの話として会話に加わるも、気になるのは麻里絵ちゃんがどう思っているのか…だった。


「特には何も進んでませんよ。」

と、晃君が真面目に答えた。

「とりあえず、お盆の前後に分けてお互いの両親に挨拶に行く話はしていますが、フェアが終わったら入籍。それ以降のことは、考える余裕もないんです。」


「ああ、そうね…挨拶はしないとよね…」

麻里絵ちゃんが間の抜けた反応を示す。
酔っているわけじゃないと思う。
たぶん、自分のことに当てはめて考えているんだろう。
そして、思いもしなかったことを言われて戸惑ったのだと思う。

とりあえず、何となく…俺が無理矢理押しきった形で一緒に住み始めて、何も考えられていないのだろう。

二人の返事にはたと思考が停止してしまったようだった。


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