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きっかけは映画館
第8章 食事


「ああ、旨そうだな。」

肘男は気を取り直して箸を構える。
ああ、でもきっかけが最悪だったからか、開き直ってるからか、初対面の割りに楽しいかも…
この人と居るのしんどくないわ。


「麻里絵ちゃん、この後どうする?」


・・・やっぱりそう来るか…

「この後はない!!
そういう約束でしょう?」

またポカンと口を開ける肘男…
こいつどこまでしぶとい男なの?

「あ…わかってるよ。そうじゃなくて料理のこと、まだ何か食べる?って話だったんだけど…」

「え…あ…あの…」


くふふ…やっぱ麻里絵ちゃん可愛いなぁ…勝手に勘違いして、顔紅くして…

俺はね、今日はあと連絡先だけゲット出来ればいい。
無理強いなんてしないし、
麻里絵ちゃんとは真剣にじっくりお付き合いしたいんだ。


「結構腹満たされたから、デザートで〆でいいかなって…
まだ何か食べる?」

顔の紅いままの麻里絵ちゃんにデザートのページを開いて渡すと、わざとメニューを立てて顔を隠して見ている。



あ〜、可愛い、モロつぼだわ〜、手厳しい麻里絵ちゃんは年上かとも思ったけど、同い年だし、人妻でも彼氏持ちでもない。
それに、コロコロ変わる表情に、こういう可愛い所…

本人は無自覚なんだろうけどめっちゃ可愛い。どストライク…

麻里絵ちゃん…俺、貴女に一目惚れしました。



「じゃあ…柚子のシャーベットで…」

メニューに隠れたまま麻里絵ちゃんが答える。

「ん、じゃあ俺も…」



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