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きっかけは映画館
第42章 オータムフェア
「フェア開催おめでとう。」
「乾杯〜」
もう馴染みになった駅近の居酒屋で晃君を交えての飲み。
好調な滑り出しに、番組の効果もあって、文句なしのお祝い会となった。
「しかし、バッグを追ってデパートにたどり着くっていう土方さんの案は最高でしたね。」
「えっ、あれ、番組の起案じゃないの?」
「麻里絵先輩、聞いてないんですか?
土方さん、打ち合わせに絵コンテ持ってきたって、晃から聞いてましたよ?」
「そうなの?ヒサオ?」
「あ、ああ、打ち合わせに時間が取れないかもしれないから、手っ取り早く絵で伝えようと…」
「え〜、見たい〜。」
「残念ですが社で保管してます。そしてあの番組の企画の際のサンプルに使わせてもらってるんです。」
「うわぁ、凄いじゃないそれ。」
「優希のセリフも土方さんが用意したんですよ。」
「はい、何日か前にいただいたので、晃がアナウンサー役をしてくれて、自然な感じで喋れるよう練習したんです。」
「え〜、優希ちゃん何で教えてくれないの?」
「先輩、××物産とのやり取りで忙しそうだったから…」
皆が協力したからこそ、大きな仕事が出来た。
それはとても嬉しかった。
「話してくれないって言うなら、麻里絵先輩だって…」
優希ちゃんの視線がネックレスと指輪に刺さる。
「あ、あの…これはね。」
「麻里絵にプロポーズしまして、受けてもらいました。」
「あ、ヒサオが言っちゃってぇ…」
「何だか、めっちゃラブラブですね。いつの間にかお互い呼び捨てで呼び合ってるし…」
「それで具体的にはいつなんですか?」
晃君まで身を乗り出して聞いてくる。
「え…あっ…」
「そちらさんと同じく、仕事の合間を見つけて、ゆっくり考えていこうって感じ。」
「式を挙げるなら、是非呼んでくださいね。」
「それを言うなら優希ちゃんもね。」