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きっかけは映画館
第42章 オータムフェア
「ただいま〜。」
「お帰りなさい。」
「ん…いい匂い、トリックオアトリート…」
ヒサオが作りかけの料理に手を伸ばそうとするから、ぺチッと叩いて代わりにキスをする。
「早く、ご飯食べながら晃君とこの番組見るんでしょ?」
「うん、麻里絵風呂入った?」
「汗かいてたからお先にいただきました。」
「じゃあ俺もシャワー浴びてきちゃう。」
その間に料理を仕上げてローテーブルに並べた。
「お、うまそっ、今日のパスタは?」
「からすみとじゃこのペペロンチーノ。」
「また凄いご馳走だな。」
ワイングラスを合わせて、料理を口に運び、ビデオを再生する。
明日は優希ちゃんたちと飲み会をするから、今日のうちに番組のことをチェックすることになっていた。
「反響はありそう?」
「今日の今日でさすがにお店にはまだないみたいだけどホームページのアクセス数は増えてるみたい。」
「関係者だからって視点じゃなくても、この番組はうまくいったよ。
観たらぜひ、行ってみたいって思うよ。」
録画を見てヒサオが言う。
そして翌日から目に見えた反響に皆が忙しくなったのだ。
チョコレートは翌週から倍、次の週にはさらに千の追加とオーダーが増えていく。
他のお菓子も同様で、バックも追加発注となる。
イートインも好評で、次週の店舗に見込み発注をかけることになる。
バックヤード作戦も人手が足りず、私達も店頭への品出しを手伝う程になった。