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きっかけは映画館
第12章 商談
今日の午後イチに××物産での商談で、午前中に優希ちゃんと最終打ち合わせだ。
「それで何でヨーロッパなの?」
「スイーツが豊富で美味しいからです。」
「じゃあ企画はスイーツに絞られているってこと?」
「はい、海外の普段食べられない美味しいスイーツを食べたい…だけじゃなくて、何でヨーロッパなの?って理由付けが出来ないんです。
建国○○年とか、○○女王君臨○○年とか、何かの節目になってないかとか、色々調べたんですけど。」
うん、やはり優希ちゃんは優秀だ。
直感的に判断する傾向があるけど、きちんと裏付けなどがあって、全部を順序立てて上手く説明が出来ないだけで、彼女の頭の中では思い付きだけでなく、きちんとした構想が練られているのだ。
これなら、現場でそれを上手く引き出せれば大丈夫と商談に向かった。
××物産のヨーロッパ部署の担当は定年間近の男性だった。昔は鋭敏な商社マンでヨーロッパ各国の駐在経験も豊富な男が歳を重ねて丸くなった感じ。
嫌な予感が的中し、彼のテリトリーはファッション、時計、車、家具、貴金属と幅広いが、スイーツには疎かった。