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50センチの距離
第41章 冷やし中華
ウチに来なかった日、夜の営業時間中に電話が掛かってきて、仕事中だってわかった上で掛けて来てるんだからよっぽどか、と慌てて厨房に引っ込んで小声で応答した。

「高塚さん…停電したかも…」

「停電?雷でもないのに?」

「ドライヤー使ってたら急にバチって電気が消えて…」

停電の時ってフッと電気が消えるだけだよな?音がしたならブレーカーじゃないのか?

「カーテンの隙間から、外見てみ?向かいのマンションとか電気点いてないか?停電なら電線がやられるワケだから、一帯消えるはずだよ?」

「そっか…点いてる…」

「じゃ、ブレーカー落ちたんだろ。上げれば点くよ」

「…ブレーカー?」

「…玄関の上とか、どっかに分電盤があるだろ。四角い箱みたいなの、壁にくっついてないか?」

「まって、今真っ暗だから…携帯の懐中電灯つける…あ、アレ、かなぁ…触ったことないんだけど…」

「高けりゃなんか台とか登って、なんか棒みたいなんでもいいから、ふた押し上げて、一個だけ下に降りてるツマミがあるはずだから、それ上げてみな。その前にドライヤーだけスイッチ切っとけよ。」

「…ん…っと…」

ガチッという音がして、点いた!と言った。
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