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心の隙間を埋めて
第5章 初めてのデート

 小さな公園の駐車場の一番奥に送迎バスを停めた。公園の横と道路の向こうには住宅地があるが、ここなら建物の死角に入るので少しくらいの駐車なら誰も気に留めないだろう。

 俺たちは送迎バスの後部座席に席に移動した。彼女の横に腰掛けて肩を抱いた。

「ここ外から見えませんか?」

 彼女が不安そうに聞く。

「スモークしてあるからね」

 送迎バスにはプライバシーの保護をするために、濃いスモークが貼られている。濃いスモークは明るい場所であれば、車の中は見えない。夜、窓をカーテンをしなくても立て簾(たてす)越しに中が見えないというあの原理だ。

バスのそばをベビーカートを押した女性が通りかかった。

「中からはこんなに見えるのに……」

 と、彼女がガラスに顔を付けて、舌を出して変顔をする。

 
「見える時もあるけど……」

「嘘っ」

「……なんてね」

「もう、先生のイジワルぅ」

 車内に和やかな空気が流れる。

 はむっ……。

 柔らかい唇が俺の下唇を啄む。先に仕掛けて来たのは彼女の方だった。俺の首に腕を回して……。

「んっ……、先生……会いたかった」

「俺も……」

 俺も負けじと彼女の唇を貪る。ねっとりとした二人の舌が互いの口腔で追いかけ合い、絡み合わせる。苦しいくらいのキス。俺の股間がニチャニチャという音に反応した。
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