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愛おしいキミに極甘な林檎を
第36章 You belong to me

止めることができずにいる祖父が今では哀れに見える。
そのうち理人さんも別の場所に引っ越すようだからひとりになってしまうだろう。……孤独な王だ。
「待て……!頼む!これではわしの後を継ぐ者がいなくなってしまう。それでは困るのだ」
「ふっ、奇跡に縋ってみればいいのではないでしょうか?」
「そのようなものが起きるはずがない。わしにはもう風子しか頼れる者がおらぬ」
「おじいちゃん……」
「俺は同情はしませんよ。約束は約束ですから」
苦渋な表情を浮かべる祖父を見下ろすソラ先輩の笑顔が怖い。
私にしか見せない大魔王モードが少し顔に出ている。
「今度こそ乙羽家の両親がどうなっても知らぬぞ。風子よ、それでもいいのか」

