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愛おしいキミに極甘な林檎を
第65章 番外編:Totus tuus
「……オレの心が、か?」
振り向いてみると郁哉さんはなぜか面白がるようにニヤリと笑っていた。
「いや……、あっ、あの……。すみません……」
冗談にしては意地悪過ぎる……。
今までずっと優しかったのに最近の郁哉さんはどうしてなのか私が困るようなことを言ってくる。
でも、この前してしまったミス以外にも仕事ではいつも迷惑を掛けてばかりだ。
忙しそうな時に声を掛けて手を止めさせてしまったり、失敗して仕事を増やしてしまったり……。
こんな態度を取られても仕方がないことをしている。
ダメだ。ダメだ。
ネガティブにならずに頑張らないと……。
まったく、私ってば。ソラ先輩との幸せな結婚がすぐそこで待っているんだから気にせずしっかり仕事をしよう。
このくらいでめげている暇なんてない。
「なぜそんな落ち込むような顔をしているんだ?」
「いえいえ。なんでもありません。すぐ仕事に戻ります」
「それで仕事に戻るな」