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愛おしいキミに極甘な林檎を
第37章 幸せな日々とその奇跡まで

「誰も風子が犠牲になって不幸になることを望んでいないんだよ。だからもっと自分の幸せを考えて欲しいな」
「分かりました……。でも誰かの犠牲の上で幸せは成り立っているんじゃないでしょうか」
「……もう犠牲にならなくていいだろ」
「…………」
痛いところを突かれて瞳を濡らした私は唇を噛みながらソラ先輩の首に腕を回して抱きつく。
夏の暑さも落ち着いてきて夜は過ごしやすくなってきた。
こうやって抱き合っていても他人の体温が丁度いいと思える。
落ち着かせられるように背中をスリスリと撫でられて私は唇を噛むことをやめた。
「お爺さんのこともよく考えてみたかい?」
「考えてましたよ。私は祖父ではなくてソラ先輩を選びましたからどうしてあげることもできません。
でも離れてからも気になるってことは本当は何とかしてあげたいんです」
「例えば?」

