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愛おしいキミに極甘な林檎を
第38章 真実と愛のかたち

部屋にいる全員の視線が祖父へと注がれる。
「理人よ……。わしが追い出すほどの人でなしだとでも思っていたのか」
「ちっ、違います。いつまでも世話になっていてはいけないと思ったからです。
もちろん引っ越してからも千十郎様のお世話と不動産投資の相談は引き受けていくつもりですので」
「……お主とは仕事の関係で出会ったな。火事で親を亡くし、財産を親戚に奪われ、頼れる場所もなく、小さい弟と妹もいる。
葬式が終わってからわしに話してくれて、この家に迎え入れたことが懐かしい」
「千十郎様がいなかったら、僕と弟と妹は今頃どうなっていたか想像がつきません」
火事で理人さんの両親が亡くなったのは五年前。
五年も毎日祖父の傍にいて世話をしていたんだから二人にはたくさん思い出があるんだろう。
「今までわしはお主たちのことを他人ではなく家族だと思って過ごしてきた。
弟や妹はまだ小さい。お主一人だけでは大変だろうから出ていく必要はない」
「ですが、僕は……」

