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愛おしいキミに極甘な林檎を
第38章 真実と愛のかたち

雨に濡れて冷たくなった手でソラ先輩のシャツをそっと掴む。
すると背中に手を回されて抱き寄せられて顔がぽふっと当たる。
「風子を傷つけると分かっている人は絶対に近づけないよ」
その言葉を聞いて、とくんっと温かい鼓動を感じる。
濡れたシャツに顔を埋めたまま私は目を細めた。
「あらかじめ聞いていたんだ。どんな理由で置いていったのか。
今でも親として風子のことを愛していると聞いて会わせても大丈夫かなって思った。
もし、捨てたと言っていたのなら絶対に会わせたりしなかった」
「私が会いたいと望んでも……?」
「もちろん。全て黙秘してお爺さんの家にも二度と近づけなかったかな。……その方が悲しい涙を見なくて済むから」
「ソラ先輩……」

