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愛おしいキミに極甘な林檎を
第51章 偽りの恋人



追い掛けて訂正したかったけど、課長が離してくれなくて動けずにいるうちに姿を見失ってしまった。



「どういうことですか課長!私は彼氏のフリをしてだなんて一言も頼んでいませんよ!」


あまり迫力はないけど私が怒鳴ると背中に回されていた手の力が緩む。


その隙に抜け出して向き合うと課長は困ったような顔をしていた。



「すまない……。だが、乙羽と塑羅緒くんを守るためには敵の目を欺くことも必要だろう」


「なんであの人が敵だって分かるんです……」



「塑羅緒くんからは理不尽な上司に悩んでいると前から相談を受けていた。それに、万が一乙羽に手を出してきたら助けてやって欲しいともな」



「もしかして、私の彼氏が課長に頼んでいたことってそれなんですか……?」


「ああ、そうだ」


「恋人のフリをするのも?」



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