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愛おしいキミに極甘な林檎を
第57章 私は愛しい大魔王の小悪魔

そうだと頭で分かっているのに、私はいつまで経っても……。
婚約する前からずっと胸に突き刺さっている悩みがどうしてなのかふと脳裏を過った。
「いい父親になりたいな……。これからも風子だけでなく、この子のことも愛していくよ。
手を貸して欲しいことがあるならなんでも言って。
お金だって、行きたいところだって、やりたいことだってできる限り叶えてみせるから」
夢を段々と膨らませるように活き活きと語るところを見ていると私もつられて笑顔になった。
「ありがとうございます。でも夫がいますので……」
気が緩んだせいで今の時間は出していけない言葉を話してしまって、ソラ先輩の顔が急に寂しそうに曇る。
「そうだったね……。風子には郁哉さんがいたね……。
俺はどうして郁哉さんに風子を口説いていいなんて言ってしまったんだろう」
後悔を口にした唇に顔を近づけると私が何をしたいのかすぐに気づかれた。
ゆっくりと口付けを交わしてから離れて、もう一度それを繰り返す。

