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愛おしいキミに極甘な林檎を
第65章 番外編:Totus tuus


間違えて穴を開けてしまったことを告げてから私が頭を下げた人はそう、郁哉さんだ。


顔を上げると私の方に体を向けて椅子に座っており、無表情な顔を向けていた。


会社では私に失恋したことを一切顔に出していない。だから仕事をしている時の顔だ。



「これはうちの課ではなく、取引先の社長の資料なんだが」

「えええっ!?しゃっ…、社長様の……?」


……終わった。せっかく正社員に慣れたというのに終わった。


取引先の社長の物をこんな状態にしてしまうなんて首を切られてしまい兼ねない。


口をぽかんと開けたまま、ヒヤリとしていると私が穴を開けてしまった書類を受け取ってからデスクの方へ体を向けた。


「大丈夫だ。オレから謝っておく」

「ありがとうございます……」


「……だが、書類の扱いには細かい人だから怖いんだ。謝れば許してくれると思うが」


「えっ……。それってまずくないですか……?」


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