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愛おしいキミに極甘な林檎を
第65章 番外編:Totus tuus
「結婚を控えていて幸せなのは分かりますが、あまりにも調子に乗っていると山に置いて行きますよ。
……っと言いたいところですがそんなことをしたら風子さんの大魔王様に命を取られそうなのでやめておきます」
「あはは……。なんか笑えない冗談ですね」
「っ……、さっさと行きますよ。風子さん」
少し恥ずかしそうな顔をした理人さんは私にその表情を隠すように背を向けて前を歩き出した。
なんだか妙な空気になったなと思いながらも私は小走りで後ろをついて行く。
それでも嫌な気はしなかった。
寧ろ、この雰囲気も好きだなと思える。
車に乗り込んで隣に座ってからも理人さんは兄の顔を保ったまま運転を始めた。
私との結婚を狙っていた頃が嘘のように何もない。
もちろん、そうであって欲しいと思っているわけではないけど、ソラ先輩も認めてくれるほど私たちには信頼関係ができている気がして嬉しかった。
「今晩はビールを飲んでいきます?ノンアルコールのものが冷蔵庫に入ってますよ。おつまみも作ります」
「いきなりなんですか?」

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