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愛おしいキミに極甘な林檎を
第30章 低俗な野望と片思い

利き手が使える私が代わりに金槌を借りて鎖を叩く。
「風子さん、急ぐ気持ちは分かりますがその前に服のボタンを閉じてください。動くたびに大きな胸が震えて目のやり場に困ります」
「っ……!理人さんのスケベ!」
結局、那砂さんに付けられた手錠はいくら叩いても外れなかった。
とりあえずハンカチを手錠に巻いて卑猥さを隠して家の中に入る。
放れられないせいで昼ご飯を食べる時もトイレに行くのも一緒。
手錠の間の鎖は短いから腕が常に当たっていて窮屈。
しかも廊下で祖父とすれ違った時は勘違いされる始末。
「結婚が決まったからと言って理人とくっつきおって。本当は仲が良いではないか」
「良くありません。理人さんが調子に乗って勝手に近寄ってくるだけです」
「おっと、今日の風子さんは冷たいですね。この通り仲がいいんですよ」
「風子よ。恥ずかしがっていてはいつまで経っても子供ができないぞ」
繋がれている手を体で隠していただけなのに。

