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愛おしいキミに極甘な林檎を
第31章 未来への誓い

「治っていないのなら仕方がないです。……でも数日経っても治らないとなると心配になりますね。那砂にまであんな風に言われて。
一度大きな病院で診てもらった方がいいのでは?」
「それが……――――」
いつまでも曖昧な理由を言ったまま理人さんに祖父を騙し続けてもらうのは悪いような気がする。
だから仕方なく颯太と那砂さんに言われたことを話した。
「――――大変なことになっていたんですね……。右手も不自由とのことですし、今は一緒にいる時間を大切にした方がいいです」
「私もそうしたいです……」
「いなくなってから、してあげられなかったと後悔する方がつらいですから」
聞きたくないその言葉が重くのしかかる。
雨に濡れて湿っているスーツのスカートをぎゅっと握って俯く。
「……すみません。悪く言っているわけではないんです。風子さんには僕のような思いをして欲しくないので」
「理人さん……」

