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愛おしいキミに極甘な林檎を
第4章 自由と秘め事

家の中は何の物も置いてなくてスッキリとしていた。

毎朝ヒールを履きながら眺めていた観葉植物すらない。

明らかな異変を目の当たりにして呆然と立ち尽くしていると母がすすり泣きながらやって来た。


「おかえり風子ちゃん。ごめんね……、本当にごめんね……」

「どうしたの?何があったの?」



「お父さんが隠れて借金を作っていたみたいなのよ。そして、それが遂に返済できなくなっちゃったの……」

「えっ!?いくら……?」


「一千万円よ……。急いで車と家の中の物を売ったんだけど、なんとか残り八百万円になったわ……」


「はっ、八百万円!?」


毎日元気で笑っている母が泣いているからこれは冗談ではないようだ。


今年の四月から社会人になった私の貯金なんて微々たるもの……。

一体、何年働けばそこまで稼げるのか具体的な計算ができないほど混乱していた。



幸せになりそうな時にやってきた大きな絶望。


その金額が私にとってあまりにも大きすぎて、どうしていいのかさえ分からなかった……————

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