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アンニュイから~企画に魅せられて
第1章 日曜日の午後は
「お前の初恋っていつ? どんなやつ?」
隣で読書する伊織に向かって、唐突に尋ねてみる。なんとなく、聞いてみたくなっただけ、深い意味はなかった。
伊織は、しおりを挟み、パタンと本を閉じた。
「どうしてそんなこと聞くんですか」
「理由なんてないけど、やっぱ男なの?」
伊織は無表情のまま、覚えていませんと言って、視線を外す。
「そんなはずないだろ? ははーん、言えないってことは、ひょっとして女か」
からかい口調で言えば、伊織がムッとする。
「どうしてそうなるんですか」
「冗談だよ。なあ、教えろよ」
俺は伊織のシャツの裾をつまんで、クイッと引っ張った。
「嫌です」
隠されると、何がなんでも聞きだしたくなる。
「もしかして、俺だったりして」