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明日に架ける橋
第2章 秘めた想い
ガターン・・・・・!

大きな音が階下から聞こえて、花憐はハッと目を覚ました。

何かが勢いよく倒れた音だった。
泥棒か、まさか貴子たちが来たのでは・・・と花憐の身体に緊張が走る。
しかし、ジャー・・・と水の音がしたので、清人が帰ってきたのだろうと、確認するため
おそるおそる下に降りた。

バスルームに灯りがついていた。
扉は開いたままで、水音だけが聞こえる。
時計を見ると三時だった。

「清人さん・・・・?」

声をかけてみたが返事はない。
花憐は心配になりバスルームをのぞいた。

清人が床に倒れていた。

「!」

花憐は慌てて清人に駆け寄って抱きかかえた。

「清人さん・・・・!」

顔色が悪く、ぐったりといしていた。清人が薄っすら目を開ける。

「・・・・・水」

清人に言われて、花憐は急いで冷蔵庫へと向い、ミネラルウォーターを手にして戻ってくると、清人は床に仰向けになっていた。

どうやら吐いたらしかった。花憐はスカーフをはずし、上着を脱がした。

上体を起こして水を飲ませる。

清人は一気に水を飲み干し、再び床に倒れこんだ。

「清人さん、ベッドで寝た方がいいです。こんなところで寝たんじゃ・・・・」
「大丈夫・・・・」

清人は手で目を覆って力なく言った。

こんなに酔っ払っている清人を見るのは初めてだった。
花憐はどうにかして清人をベッドに運ぼうとしたが、自分よりはるかに長身の清人を抱えて
運ぶことは不可能だった。

「どうしよう・・・・」

困り果てた花憐の手を清人が突然掴んだ。
吐いて少し気分が良くなったのか、顔色が戻りつつあったが、目は空ろだった。

「花憐・・・・」

名前を呼ばれてドキリとした。
引き寄せられて、ぎゅ・・・と抱きしめられる。

清人の匂いでない、女性的な香りが漂ってきた。女性と今まで一緒にいたことは間違いなかった。
胸がきゅぅ・・・と痛み、唇を噛んだ。

「花憐・・・・」

しかし、清人の囁きは甘く、力強く抱きしめられると、花憐は自分も腕に力を入れて清人の身体を抱きしめた。
清人が身体を起こし、花憐を床に仰向けにすると、その上に屈みこんで顔を近づけた。

「さっき・・・言ったこと、覚えてる?」
「・・・・・・・」

『次は途中でやめたりしない』と言ったことだろうと、花憐は思った。
黙って頷く。
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