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明日に架ける橋
第1章 エスケープ
有坂花憐は一通の手紙を震える手で急いでポケットに仕舞い込んだ。
いつも郵便受けをチェックするのは、かつて父の内縁の妻だった貴子の仕事だったが、
貴子は一昨日から恋人と出かけたきり戻ってきていなかった。
貴子は自分の娘の聖子や息子の晴彦に、郵便物を花憐にチェックさせないよう
言付けていたに違いないが、二人がその通りにするはずはなかった。
晴彦に郵便物が溜まっていると伝えると、お前が取りにいけと言われたので、花憐は
それに従ったまでだった。
そこで目にしたのが、結婚式の招待状のようなしっかりした紙質に、綺麗な字で花憐の
名前が書かれている手紙だった。
「鴻池 文子」
差出人の名前を見て、花憐はハッとした。
(文子伯母様だわ・・・)
その場ですぐにでも開封したかったが、誰かに見られたらすぐさま取り上げられ、
燃やされてしまうだろう。
花憐は表情を戻して、急いで家の中へ入った。
玄関の大きな扉を開けると、晴彦が立っていた。
ホットドッグをむしゃむしゃと食べている。
思わずドキリとする。しかし、ここで変な態度を取ったら、疑われてしまう。
花憐はすぐに郵便物を晴彦に渡した。
「これだけか?お前宛に来たものはないだろうな」
「ありません」
花憐は平静を装ったが、晴彦がじろじろとやたら見つめるので、内心手紙がばれるのではないかと
ビクビクしていた。
「カフェオレをお持ちしましょうか」
花憐は台所に向かおうとしながら言った。
晴彦は部屋に持ってこいと言って二階へあがっていった。
花憐は台所へ行くと、ホッと小さくため息をついた。
コーヒーの缶を取り出す。
気持ちが落ち着かず、そわそわしてしまう。
早く手紙を読みたい。
しかし、ここで焦ってはだめだと言い聞かせた。
夜、みんなが寝静まった時に読もう。
花憐は冷蔵庫からミルクを取り出した。
いつも郵便受けをチェックするのは、かつて父の内縁の妻だった貴子の仕事だったが、
貴子は一昨日から恋人と出かけたきり戻ってきていなかった。
貴子は自分の娘の聖子や息子の晴彦に、郵便物を花憐にチェックさせないよう
言付けていたに違いないが、二人がその通りにするはずはなかった。
晴彦に郵便物が溜まっていると伝えると、お前が取りにいけと言われたので、花憐は
それに従ったまでだった。
そこで目にしたのが、結婚式の招待状のようなしっかりした紙質に、綺麗な字で花憐の
名前が書かれている手紙だった。
「鴻池 文子」
差出人の名前を見て、花憐はハッとした。
(文子伯母様だわ・・・)
その場ですぐにでも開封したかったが、誰かに見られたらすぐさま取り上げられ、
燃やされてしまうだろう。
花憐は表情を戻して、急いで家の中へ入った。
玄関の大きな扉を開けると、晴彦が立っていた。
ホットドッグをむしゃむしゃと食べている。
思わずドキリとする。しかし、ここで変な態度を取ったら、疑われてしまう。
花憐はすぐに郵便物を晴彦に渡した。
「これだけか?お前宛に来たものはないだろうな」
「ありません」
花憐は平静を装ったが、晴彦がじろじろとやたら見つめるので、内心手紙がばれるのではないかと
ビクビクしていた。
「カフェオレをお持ちしましょうか」
花憐は台所に向かおうとしながら言った。
晴彦は部屋に持ってこいと言って二階へあがっていった。
花憐は台所へ行くと、ホッと小さくため息をついた。
コーヒーの缶を取り出す。
気持ちが落ち着かず、そわそわしてしまう。
早く手紙を読みたい。
しかし、ここで焦ってはだめだと言い聞かせた。
夜、みんなが寝静まった時に読もう。
花憐は冷蔵庫からミルクを取り出した。