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アルルの夜に始まる恋
第3章 パリの小さな夜
結局、二人は夜中までおしゃべりし、気がついたらベッドで眠ってしまっていた。

朝になり、眩しい日差しが窓から入り込み、ロイは目を覚ました。

少女のように無垢な小夜の寝顔は、最高の目覚ましだと思った。
ロイがしばらく眺めていると、小夜は寝返りを打って目を覚ました。

「あ・・・」
「おはよう」

ロイの姿を見て、小夜はガバッと起き上がり、慌ててベッドから降りた。

「私ったら・・・あのまま寝ちゃったなんて!ごめんなさい!」

日本語だったが謝っているのはすぐわかった。

「なんで謝るの?起きたら君の寝顔が間近にあって、なんて幸せなんだと思っていたところだよ」

小夜はか~と顔を赤らめて、もう一度ごめんなさいと呟いて出ていってしまった。
ロイは声を立てて笑った。



ホテルでの朝食を済ませて、アルルを観光する。

アルルの日差しは予想以上に眩しかった。パリとは大違いの青空に、本当に同じフランスなのかと思うほどだった。

円形闘技場、古代劇場、公共浴場、サン・トロフィーム教会、ゴッホ病院・・・
中でも圧巻だったのが、古代ローマのフォーラムの地下回廊だった。

「すごい・・・。紀元前40年に、こんなものを地下に作るなんて、ローマ人てすごいのね」

小夜はため息をついて言った。
ロイも同意し、頷く。

「ローマ人の建築技術は素晴らしいよ。ギリシア人よりも、実用的な建築物を作るのが得意だったんだ。さっき見てきた円形闘技場や公共浴場とかね」

小夜は、へえ~と感心した。地下回廊はとても薄暗い。

ロイは自然と小夜の手を握った。
ひんやりと冷たく、か細いが、小夜は力をこめてしっかりと握り返してきた。
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