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君の瞳に映る白い花【おまけ追加しました】
第1章 思いがけないプロポーズ
悠はビールを追加することもなく、食事を済ませるとすぐに立ち上がった。
冬子からきっちりビール一杯分のお金を徴収する。
雨はもうやんでいた。二人で一月の寒空の中、家に向かって歩き出す。
今まで数え切れないぐらいこうして肩を並べて歩いた。
特に何も話さず、沈黙のまま歩くことだって何度もあった。
しかし、今日のような気まずさを感じたことは一度もない。
冬子は少し歩調をゆるめて、悠の後ろをついていくように歩いた。
何を話せば良いのかわからなかった。
「・・・急じゃないよ」
冬子のアパートの前に来て、悠が口を開いた。
「え・・・・?」
冬子は無意識にうつむいて歩いていたようで、ハッとして顔を上げた。
「ずいぶん前から・・・・っていっても一年ぐらいだけど、俺はずっと考えてた」
悠が冬子を正面からとらえて、声のトーンを下げて言った。
「俺が結婚できんのは、冬子しかいないんじゃないかって」
「・・・・・・」
「俺だって最初は自分の思い違いじゃねーかと思ったけど、一年たっても変わらないんだから、間違いじゃない」
こんなに真剣な眼差しを自分に向けたことがあっただろうかと冬子は思った。
客観的に見れば、悠が冬子に告白しているように見えるのだろう。
でも、冬子の中では何かが違っていた。
「悠・・・・・」
「おばさんに顔見せてくか」
冬子からきっちりビール一杯分のお金を徴収する。
雨はもうやんでいた。二人で一月の寒空の中、家に向かって歩き出す。
今まで数え切れないぐらいこうして肩を並べて歩いた。
特に何も話さず、沈黙のまま歩くことだって何度もあった。
しかし、今日のような気まずさを感じたことは一度もない。
冬子は少し歩調をゆるめて、悠の後ろをついていくように歩いた。
何を話せば良いのかわからなかった。
「・・・急じゃないよ」
冬子のアパートの前に来て、悠が口を開いた。
「え・・・・?」
冬子は無意識にうつむいて歩いていたようで、ハッとして顔を上げた。
「ずいぶん前から・・・・っていっても一年ぐらいだけど、俺はずっと考えてた」
悠が冬子を正面からとらえて、声のトーンを下げて言った。
「俺が結婚できんのは、冬子しかいないんじゃないかって」
「・・・・・・」
「俺だって最初は自分の思い違いじゃねーかと思ったけど、一年たっても変わらないんだから、間違いじゃない」
こんなに真剣な眼差しを自分に向けたことがあっただろうかと冬子は思った。
客観的に見れば、悠が冬子に告白しているように見えるのだろう。
でも、冬子の中では何かが違っていた。
「悠・・・・・」
「おばさんに顔見せてくか」