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君の瞳に映る白い花【おまけ追加しました】
第2章 芽吹いた想い
結局、悠とのことをあれこれ考えてしまい、なかなか寝付けなかった。それでいて早く目が覚めた。

冬子はパンの耳が入ったジップ袋を持って外に出た。
まだ薄暗く空気は肌をさすように冷たい。寒さで肌の白い冬子の耳や頬がピンク色に染まる。

工場の横には大きな池があり、冬子はそこにいるアヒルや鴨にパンの耳をあげるのが日課だった。池の周りの金網に寄りかかり、空を見上げる。

静かで、空気が澄んでる冬の朝。
冬子はそんな時に産まれた。

父がその日見た冬の景色があまりに綺麗で冬子と名づけたと美代が教えてくれた。

だから、冬の朝に起きて外の景色を見ていると、父と対話しているような気がしてくるのだった。

「冬ちゃん、おはよう」

声をかけられて振り向く。
悠の母の昌子だった。

「おばさん、おはよう」

冬子は箒を持ってる昌子に挨拶した。昌子は毎朝敷地内を掃除している。
小さくて丸い体はとても愛らしく見える。性格も陽気で、悠とはあまり似ていない。
悠は父方の祖父にそっくりだ。写真を見せてもらったことがあるが、まさに生き写しだった。

「おばさん、腰の調子どう?」
「おかげさまでもう大丈夫よ。だめねぇ、年取ると、いろいろガタがきて」
「掃除とかして大丈夫なの?わたしやるよ」

冬子はそう言って昌子の持っている箒を手に取ろうとした。

「ありがとうね。でもこのぐらい動いたほうがいいのよ」

昌子はもう一度ありがとうと言って笑った。
昌子は冬子にとって二人目の母みたいなものだ。

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