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君の瞳に映る白い花【おまけ追加しました】
第2章 芽吹いた想い
「おい、美咲。子供産んで腹だけじゃなくて頭も緩んだみたいだな」

悠の辛らつな嫌味に美咲は失礼ね!と睨んだが、ふと、何かを思い出したようににやにや笑い出した。

悠は美咲を無視して黙々と刺身を食べた。

悠がいると必ず話題は小学生時代にいかに悠がモテたかという話になる。

「名前忘れちゃったけどさ、九州に引っ越した女の子が夏休みに一人で悠に会いにきたことあったよね!」
「あの子、引っ越す時もすごかったよね。最後の挨拶でさ、悠と離れるのが辛いって大泣きしてさ」
「あの様子だと、親に自分は残る!ってだだこねてただろうな」

みんなのそんな話を悠は無表情で聞き、たまに辛らつな言葉を発した。
それがまたみんなの笑いを誘う。

「顔も綺麗、スタイルも良い、頭も良い、運動もできる、極めつけが’神代悠’って名前!」
「王子様要素満載だもんね」
「こどもにしても’わかりやすい’かっこよさなのよね」

冬子はうんうんと頷いて話を聞いていた。

「それと比べると、冬子は’わかりにくい’かわいさだったよね」

美咲が突然冬子を話題に挙げた。

「小学校の時はさ、もっと目が細くてすごいクールな感じだったじゃん。大人しくて、ぎゃーぎゃー騒がないから余計にクールに見えてさ」

美咲は冬子の肩に手を置いて寄りかかった。

「そうそう、切れ長の目してたよね。今思えば綺麗な子だなって思うんだろうけど、子供のころってそういうのキツく見えるもんな」
「肌の色も尋常じゃない白さだったよね。今もだけど。子供の頃はなんかそれが奇妙に見えてさ」

みんなが美咲の意見に賛同しはじめる。

目がキツく、色白で、名前が冬子だったから、冬子は’雪女’というあだ名がいつもついてまわっていた。

「確かに大人になってわかる良さだよな。今じゃすっかり美人さんだし」
「でもさ、当時も私、冬子ってかわいいと思ってたよ。キツめの顔だからか、ニコっと笑うとすごいかわいかったの覚えてる。今でいうギャップ萌えってやつ?」

みんながうんうん、と口々に冬子を褒め出したので、冬子は気恥ずかしくなってもういいよと言った。皆、酔っ払っているから話が誇張されているのだ。

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