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私の欠けているところ
第8章 泥沼のような地獄だった


said 陸



雰囲気に呑まれ

時に
されるがままになり

俺は
時に咥えられたまま

いってしまった



時が
それをティッシュに包み捨てると
俺は
猛烈に反省し
時をしっかりと抱きしめた


「ごめん」


「何が?」


俺の胸の中で
不思議そうに
時はそう呟いた


「…いや…」


時にとっては
それが普通なのかもしれない


「何?」


それはそれで
なんか

悲しいけど


「してもらって」


「ううん
したかったから…

私こそ
ごめん」


「何が?」


「だって…」


あぁ…そうだよな
時の中で
色々辻褄あってねぇ

よくは知らないけど
ゲイが
女のあそこを舐めたり
しないような気がする


「気にしないでいいよ

俺…」


ゲイじゃないから


そう言えたなら
どんなに楽だろう


「何?」


時が好きだ

だから
アイツと別れて
俺と付き合ってくれよ

もう


アイツなんかに
抱かれるなよ





言いたかった


「マジでヨダレでたし
舌、突っ込みたいくらい」


けど言えなかったんだ

こんなことになって
俺は尚更
時との
この関係をやめたくなくて


「もう(笑)」


俺達は
挿れないセックスが終わっても
裸のまま
抱きしめあっていた

腕枕をしたり
手を繋いだり
キスをしたり…

いたずらに
身体を触りあったり


時からは
「服を着る」という言葉も
「帰る」という言葉もなく

そして
「好き」
という言葉もなく…


ただ

ゴールもないまま

俺達は
甘くじゃれあっていた
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