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私の欠けているところ
第14章 俺は時のなんなんだよって叫びたくなる
俺は
咄嗟に
時の握りこぶしに手をのばし
その固く握られた指を
優しく
一本ずつほどいた
「っ…こんなに握るなよ…
…痛いっだろ?…
爪の跡っ…ついてる…」
「…梶谷くん…」
「小指…折れそう…
いったい…っ何号なんだよ」
「……一号…」
「……ほんとかよ……
てか…そんなのあんのかよ…」
俺は
ほどけた指を
優しくなぞり
一号だと言った
愛おしい
時の小指を握りしめた
「プレゼント…
したかったな…
一号の指輪なんて
買ったことねーから」
「…梶谷くん…」
「ん?」
「もう……っ…
Siriじゃなくなっちゃうの?」
俺の涙は
もうとっくに
流れ落ちてて
時の目は
こぼれそうな涙で
いっぱいになっていた
「…ん~…
そんなことねーよ…
約束したもんな
Siriでいるって
けどさ
Siriって…
時のSiriって何?
時が話したいことって
何?
俺って
何?
時の中で
俺って
…っなに…」