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私の欠けているところ
第15章 だから教えてくれよ、分からないこと、全部


「少し…落ち着いたか?」


しばらくして
時の涙は落ち着き
俺は
時の背中をなぜながら
時の顔を覗き込んだ


「ひどい顔…してるから…」


「そんなことないよ」


濡れてしまった
時の頰を手で拭い
時の髪を撫でると

時は
ちょっと
困った顔をしながら

「…私
迷惑かけてばっかり…」

と、呟いた


「迷惑はかけてもいいって
言ったろ?」



「でも…」



「俺は迷惑だって思ってないし
困ってなんかない


頼ってくれてるって思ってるよ


時、仕事とかで頼られると
嬉しいって言ってたろ?
あれと同じさ


満たされるんだ

時に頼られると


大好きな時を助けて
時が喜ぶと
俺は満たされる




時が好きだからさ」



もう
隠す必要なんて
ないと思った


もう
おしまいに
なるかもしれないのに

Siriのままでいる必要もない

梶谷のふりをする必要もない


俺は陸だ


時に
告白をした

陸なんだ



時は
俺の言葉に

また
ツーっと
涙を流すと
唇に力を入れた


「時…」



「……」



「なんで

俺を
好きになれないの?…」



「……」




「もう教えてくれないかな

…全部」




「……」




「なんで俺を
好きになっちゃいけないのか



なんで
アイツと別れたのか


なんで


セックス
しないって
言い出したのか


なんで……





あの日

突然

俺の部屋から
居なくなったのか」




教えて欲しい

全部知りたい

それでだめなら


あきらめるから
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