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第2章 お誕生日
「お誕生日おめでとう」

私は父とレストランで食事をしていた。

「きて貰って済まないね」

「ううん。いいの。だってママともお誕生日を祝うし、プレゼントが2倍になるから」

私は母よりも父によく似ていると言われる。街を歩いていても必ず親子だと認識されるくらいだ。

「ここのレストランのオムライス好きだったろう?」

熱々のオムライスを少しずつ食べるのを父は目を細めて見ていた。実は母ともここに来る事になっている。父には内緒だ。こう見えても、一応親にも気を使っている。

「うん。美味しい」

コンベンションセンターからも程近い海の見える最上階のレストラン。周りは、カップル以外にも、買い物帰りのお年寄りやビジネスマンが1人で食事をしていたりと、客層は様々だ。

「実はな…フキさんを好にはきちんと紹介していなかったから、この後遅れてここに来るように伝えてあるんだ」

父は私の顔色を伺う様に話した。フキさんは、父の新しい奥さんだ。

「う…ん…わかった。きちんと行儀よく挨拶するから心配しないでね。パパ」

…私の誕生日なのに、なんで?

ウキウキしていた心が途端に萎れていく。破られてぐしゃぐしゃにされて捨てられたノートの切れ端みたいに。

「好に会いたがってるんだ。了承してくれて良かったよ」

父の顔がパッと明るくなったのを見て、もう自分だけの父親でない事を強烈に感じた。

…パパとの間に透明な壁ができたよ。

「うん♪」

私は、自分も楽しみにしていた様な振りを精一杯した。




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