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第5章 図書館
「へぇ〜O •ヘンリーなんてするんだね。」

私は、塾で習った事があった。

「はい。塾の授業で…。」

蒼は、読みたかったOヘンリー短編集を本棚から見つけ出してくれて、私はその本を一冊だけ借りた。

「どんなストーリーだった?」

「え…と。貧しい夫婦で…
クリスマスにプレゼントを贈り合うんですけど、
奥さんは綺麗な髪を売って、旦那さんの時計の鎖を、旦那さんはその時計を売って奥さんの髪飾りを…って…。」

「ああ…“賢者の贈り物”だね。夫婦がお互いを想い合った結果…って話だよね。」

「ちょっと悲しいと思いました。お互いを想い合った結果、今まで自分が大切にしてたものを失うんだもの…って。」

全然知らない人なのに、こんなに自然に話せて自分でも驚いた。


「あははは…そうだね。少し話し合えてれば良かったよね。」

蒼さんは、小柄でちょっと痩せている。見た目だけでは、どんな仕事をしてる人なのかも分からなかった。

「なんか…判るんです。自己犠牲的なものだとは、分かるんですが、でもなんかモヤっとしました。」

この間初めてあった書店の前まで一緒に歩いた。

「ん〜ちょっと宗教的な話がベースにあるからね。分かり難いところもあるんじゃ無いのかな。」

「あの…私ここで…。」

「あ…そうなんだね。僕はこっちだから…。」

蒼さんは歩道橋を超えた反対側を指差した。

「あの…ありがとうございました。」

「いえいえ…。じゃあまたね。」

蒼さんはゆっくりと歩き出した。

「あのっ!」

私が声をかけると蒼さんは、ぱっと振り返った。

「蒼さんは、ここの本屋さんに良く来るんですか?」

「うん。雑誌を買ったり色々するよ。今時は、なんでもネットで注文できるけど、自分で手に取って実際にみてみるのが好きなんだ。」

「私もです。」

「そっか…僕は図書館にもよく行くから、また会えるかもね。」

「じゃあね。」

「はい。さようなら。」

なんでこんなに自然に話せるのか不思議だった。



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