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堕天
第1章 堕天
「見つけた。僕の美しい人形……」
血のような紅い瞳の少年がうっとりと目を細めた。年の頃は十代前半だろうか。完璧までに整った小作りの顔の周囲を、豪奢な黄金の巻き毛が縁取っている。少年らしいすらりとした細身の肢体には薄紗を申し訳程度に巻き付け、紗に透けた乳首と局部が全裸でいるより蠱惑的だ。
鏡のように凪いだ湖面に映る大きな城。
しかし湖の周囲を見回してもそのような城はどこにも見当たらない。世界に存在していない不思議な城の一室では、一人の少年が水晶球を見つめていた。水晶球には純白の翼を広げた天使たちが映っている。
中でもひときわ美しい熾天使に少年の目が惹き付けられた。熾天使は六枚の翼を持つ神の使い。その熾天使は煌めく銀糸の髪に、輝く黄金と静かな銀青色の左右色違いの瞳を有していた。神の寵愛を一身に受けたかのような聖なる美貌は、この自分が手元に置いて愛でるのにふさわしい。
少年は水晶球に映る天使をいとおしげに見つめ、唇を寄せた。頬を、唇を、舌でなぞるように丁寧に舐め始める。幾度も執拗に繰り返すうち、頬が薔薇色に上気してゆく。
「うふふ、その清らかな身体をこの手で穢すのは、どんなに楽しいだろう。あああ……。もう待ちきれないよ」
腰に巻かれた薄紗の一部がはっきりと隆起していた。少年は紗布に手を入れ中を弄りながら一人で艶かしく身悶える。うっすらと額に張り付いた金の髪と潤んだ瞳が、淫らな欲望に身を委ねる少年をより一層淫靡に見せている。欲望を冷たい大理石の床に撒き散らした後、少年は隠されていた漆黒の翼を背に広げ、水晶球に手をかざした。強大な力で周囲の空間が歪む。瞬きする間もなく、少年の姿は水晶の中に移っていた。
少年の名はアシュタート。魔界を統べる永遠の少年王だった。
血のような紅い瞳の少年がうっとりと目を細めた。年の頃は十代前半だろうか。完璧までに整った小作りの顔の周囲を、豪奢な黄金の巻き毛が縁取っている。少年らしいすらりとした細身の肢体には薄紗を申し訳程度に巻き付け、紗に透けた乳首と局部が全裸でいるより蠱惑的だ。
鏡のように凪いだ湖面に映る大きな城。
しかし湖の周囲を見回してもそのような城はどこにも見当たらない。世界に存在していない不思議な城の一室では、一人の少年が水晶球を見つめていた。水晶球には純白の翼を広げた天使たちが映っている。
中でもひときわ美しい熾天使に少年の目が惹き付けられた。熾天使は六枚の翼を持つ神の使い。その熾天使は煌めく銀糸の髪に、輝く黄金と静かな銀青色の左右色違いの瞳を有していた。神の寵愛を一身に受けたかのような聖なる美貌は、この自分が手元に置いて愛でるのにふさわしい。
少年は水晶球に映る天使をいとおしげに見つめ、唇を寄せた。頬を、唇を、舌でなぞるように丁寧に舐め始める。幾度も執拗に繰り返すうち、頬が薔薇色に上気してゆく。
「うふふ、その清らかな身体をこの手で穢すのは、どんなに楽しいだろう。あああ……。もう待ちきれないよ」
腰に巻かれた薄紗の一部がはっきりと隆起していた。少年は紗布に手を入れ中を弄りながら一人で艶かしく身悶える。うっすらと額に張り付いた金の髪と潤んだ瞳が、淫らな欲望に身を委ねる少年をより一層淫靡に見せている。欲望を冷たい大理石の床に撒き散らした後、少年は隠されていた漆黒の翼を背に広げ、水晶球に手をかざした。強大な力で周囲の空間が歪む。瞬きする間もなく、少年の姿は水晶の中に移っていた。
少年の名はアシュタート。魔界を統べる永遠の少年王だった。