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金曜日
第22章 展示会で思わぬ事態



「思ってた以上のクオリティで充分ですね。これでいきましょう。」


雄太君が満足そうな様子で商品を一通り眺めた後、私を見て声のトーンを落とし


「あかりちゃんは、どうしてここで働いてるの?」



「ゆ、雄太君、あっ、白川さんその話しはちょっと、、、」


『あの、白川さん、個人的なお話のようですので別室でお願いしてもよろしいでしょうか?』


「あっ、もしかしてデリケートな話なわけ?熊田、席外して!」


今まで、何も発言していなかった上司と思っていた方が



「専務、もうお時間が、、、」



「わかってるから、車で待機してて。」



「かしこまりました。」



せ、専務???



空気を読んだであろう課長までもが



「俺も挨拶回りしてくるよ。」



と、席を外してくれた



一応仕切りがあるとはいえ、かなりのオープンスペースでの話しは、他の社員に筒抜けになるのは間違いない


『宜しければ、応接室へ移動して頂けますでしょうか?』



翔大さんが雄太君にお願いするように話し掛ける



「聞きたいこともあるし、いいよ移動しようか」



翔大さんが5階の社長室横の応接室へ雄太君を案内する



私もお茶を持ってすぐ行くので待ってて貰うように伝えて、急いで緑茶を入れて後を追う


「失礼します。」



応接室に入るとピリピリした雰囲気を感じた



雄太君、私がお茶をいれていた数分の間に何を言ったのー!


もう、お茶を出す手も震えるくらいバクバクして翔大さんを見る


『あかり、座って』



雄太君の前なのに、名前で呼ぶなんて!



唖然と翔大さんを見ていると



『あかり?座って?』



もう一度呼び掛けられて我に帰る



「は、はい」



雄太君は眉間にシワをよせて私を見て



「そうなんだな、そうかー、、、」



訳がわからず、翔大さんを見ると



『あかりと婚約していることを話したんだ』



「いやー、まいったよ、直球できたから(笑)」



『この事で取引に影響がでるなら、それも構いません。私は佐藤あかりを愛してますから。なにより大事な人なので誰にも渡すわけにはいかない。たとえ取引が無かったことになったとしても構いません。あかりを取引の材料にする気は更々ないので。』


「ちょ、ちょっと!翔大さん!」

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