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金曜日
第12章 私の秘密
私は大城さんに
ううん、会社のみんなにも秘密にしていることがある
それは私の育った環境のこと
祖父母が初孫の私を甘やかしてばかりいたので
それを心配した両親の躾はとても厳しかった
厳しいというのは勉強しろってやつではなく
自分で生きていくためのスキルを身に付けさせる為に
お稽古ごとにいっぱい行かされるってやつ
だから、一通りのお茶お華お習字お料理ピアノにetc.etc.
いわゆる【ザ・お嬢様】ってやつ
だから、一人暮らしの今、何も困ることのない生活ができる
普通の生活がしたくて、ううん、してみたくて
親に我が儘を言って社会勉強という名のもと
大学にも行かず高校から就職させてもらい
今は都心部からかなり離れた小さなマンションに一人暮らししているけど
実家はいわゆる高級住宅街にある豪邸?
親はまぁ、お金持ち?
自分で生きてみたくて普通の会社に就職したんだけど
今、親に戻ってくるように言われ続けている
父は祖父から受け継いだ会社経営者
母は専業主婦
一人暮らしも就職も両親は心配こそしたけど
いずれ会社を継いで貰うのに学歴は関係ない
今は好きなことさせてやろうとの父の考えで
私の我が儘が叶ったのだ
だから、私は家に連れ戻されるのが嫌で
必死で働き
今の自分の生活を楽しんでいる
もう、時間はないかもしれない
この頃頻繁に連絡してくる母
事務職なら父の会社でもいいだろうって
孫娘を呼び戻したい祖父母がうるさいらしい(笑)