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炎の王妃~月明かりに染まる蝶~
第4章 月夜の銀花~契り~
長い初夏の陽が傾き始めるのをそわそわとしながら待ち、黄昏時の気配が辺りに漂い始める時刻には殿舎を飛び出した。
蓮池に向かって駆けてゆく彼女の姿を、ミニョンが気遣わしげに見送っていたのも知らなかった。
スンに大切なことを伝えなければと思うのに、彼とまた逢えると考えただけで、はしたなくも心は浮き立ち鼓動は速くなる。我ながら、何という現金なのかと呆れるけれど、心はもうとっくに蓮池で待つはずのスンの許へ飛んでいた。