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VERTEX
第9章 運動不足…

翌日からはまたいつもの日常になる。
昼には涼ちゃんが迎えに来てくれるから一緒にジムに向かう。
「理梨ちゃん、お土産、ありがとうな。」
会長さんや霧島さんが私に話し掛けて来る。
「なんか霧島さん、お久しぶり…。」
「そうかな?静香が理梨ちゃんに会いたがってたよ。土産のお礼の事もあるし…。」
「お礼とか…、いつも試合の時にお世話になってますから…。」
「お互い様だと思うよ。」
霧島さんって、やっぱりカッコいいとか思っちゃう。
「涼二と霧島、2人ともリングに上がれ…。」
会長さんが指示を出す。
2人ともがリングに上がる時はスパーリングをやる時と決まってる。
涼ちゃんが4日も休んだから戦う感覚を取り戻す為の模擬試合をやる。
霧島さんの方が階級が上だから断然に有利ではあるけれども、涼ちゃんはスピードでは霧島さんに勝てる部分がある。
「3分5Rくらいで軽く行け。」
会長さんがタイマーをセットする。
「5Rのどこが軽いんだよ。」
涼ちゃんが口を尖らせる。
霧島さんがニヤリと笑う。
「まぁ、軽く流そうぜ。」
そう言ってタイマーがブザーを鳴らすと2人の目付きが一気に変わる。
涼ちゃんは霧島さんに本気で挑んでいる。
霧島さんの方はスピードの速い涼ちゃんをパワーで押さえ込もうとする動きに変わる。
リングのセンターを先に制したのは霧島さん。
上手いと思う。
外を回らされる涼ちゃんの方がスタミナの消耗が激しくなる。
3Rまでは霧島さんの方が優勢に見えた。
3Rからは涼ちゃんの方が一段と動きが速くなる。
「化け物かよ?」
「若さって奴です。」
今度は涼ちゃんの方がニヤリとする。
それでも模擬試合だからお互いに無茶はしていない。

