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第10章 取らないで…



………2週間後。


「無理…、やっぱり緊張しかしない。」


無事にホテルに着いたのに静香さんが叫ぶ。

相変わらず私と静香さんの試合前の緊張は半端ない。

自分達が試合に出る訳じゃないけれど、この緊張だけは慣れそうにない。


「それで…、理梨ちゃんは涼二君とどうありたいの?」


ホテルのベッドに座った静香さんが私に聞いて来る。

涼ちゃんとこの先をどうすべきかわからずに私は静香さんに相談をした。


「どうありたい?」

「涼二君らしいとは思うけど、多分いきなり過ぎるんだと思うんだよね。普通は付き合って恋愛をしてから結婚を考える。だけど涼二君は理梨ちゃんと一緒に居るのが当たり前の人だから、すぐに結婚って未来を理梨ちゃんに突き付けてる感じがするの。」

「やっぱり、いきなり過ぎますよね?」

「恋愛を飛ばしちゃう感じが理梨ちゃんには不安なんだよね?」

「多分、そうだと思います。」


静香さんがふふっと笑う。


「なら、理梨ちゃんが好きだと思う人といっぱい恋愛をしてみたら?」


静香さんの言う意味がわからない。


「いっぱい恋愛をする?」

「そう、涼二君といっぱい恋愛をしてもいいし、他の人でもいい。私だって恭ちゃんとずっと恋愛をしてた訳じゃないの。」

「静香さんが!?」

「恭ちゃん…、モテるでしょ?頭に来て何回も別れるって言っては他の人とデートとかしたの。」


そんな話は初耳だ。

霧島さんと静香さんはいつも仲良くて当たり前のように一緒に寄り添っているイメージしかない。


「その腹癒せに恭ちゃんが他の女の子とデートした事もあるわよ。」


そんなとんでもない話をしながらも静香さんは普通に笑っている。


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