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VERTEX
第10章 取らないで…

VERTEXはあくまでもスポンサーさん重視の考え方しかしない。
ファイターとして選手を大事にはするけれどスポンサーさんの為なら、その選手をタレント並に利用する事も厭わない。
ファイターはアスリートではなくショービジネスのタレントだという考え方のVERTEX。
派手な演出、派手な宣伝。
その裏側が見えて来ると泣きたくなる。
ファミレスでご飯を済ませて家に帰る。
もう涼ちゃんとは2週間は普通に会えなくなる。
「試合が終わったら遊びに行こう。」
涼ちゃんがそう言って帰った。
それからの2週間はただ涼ちゃんを迎えに行くだけの生活…。
練習でボロボロになる涼ちゃんを連れて帰っては寝かせるだけ…。
「アンタ…、涼ちゃん以外にする事ないの?」
お母さんに聞かれる。
「一応、受験生なんです。」
「エスカレーターの大学受験で勉強なんか何もする事ないくせに?」
高校から7割が内部生として上がる短大。
残りの3割は海外留学をしたり東京の大学に本気で進学をする人達。
内部生は推薦と変わらないから10月には進学が決定する。
必死になる受験じゃない。
自分が何の為に大学に進むのかもわからない。
だったら高卒で涼ちゃんと結婚しちゃう方がいい?
それだと、この先の自分の人生が本当に何もない人生を送る事になる気がして不安になる。
「涼ちゃんが居なくても生きていける人生を見つけないとあっという間に涼ちゃんに縋るだけの惨めな女になるわよ。」
「ゔっ!?」
自由奔放なお母さんにそう言われて凹んだ。
涼ちゃんに縋るだけの女…。
それじゃ国崎さんよりもタチが悪いと思う。
ひたすら、ため息しか出ない2週間を過ごす羽目になった。

