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VERTEX
第11章 ショック…

涼ちゃんに気付かないフリをして立ち去ろうとした。
「連れが来たから、もう行くよ。」
そんな涼ちゃんの声がする。
数メートルも行かずに私の肩が抱かれる。
「1人でどこに行くつもりだよ?」
涼ちゃんが不機嫌に聞いて来る。
「まずいんじゃないの?」
「何が?理梨と居る事が?それを決めるのは俺が決める事だ。」
部屋に向かって涼ちゃんが歩き出す。
この人を閉じ込めたいとか考える。
自分が望んだ事なのに…。
泣き虫で情けない男は嫌だと私が望んだ事なのに…。
その夢を叶えてくれた人を誰にも見せたくないとか考えちゃう。
部屋に帰るなり涼ちゃんにしがみつく。
「えー?何?理梨…、そんなに俺が好き?」
やたらと嬉しそうに私の顔中にキスをする。
「そんなんじゃない。」
「嘘っ!?俺は死ぬほど理梨が好き。」
無邪気に笑う涼ちゃんに悔しいと思う。
「理梨…。」
涼ちゃんが首筋にキスをする。
その手が私のお尻を抱えて胸を撫でて来る。
えーと…?
そろそろ日が暮れる。
「涼ちゃん!ご飯が来るからストップ!」
「うげーっ…、理梨をその気にさせるのが世界で一番難しい…。」
お預けをされた犬男が嘆く。
昔と変わらない情けない男がちゃんと居る。
「そういう涼ちゃんが好きだよ。」
私の言葉に涼ちゃんが真っ赤な顔になる。
「やばい…、俺…、泣くかも…。」
私の胸に顔を埋めて来る。
頭を撫でてあげる。
好きだよ…。
涼ちゃんが私しか考えられないように私も涼ちゃんしか想像が出来ない。
部屋の呼び鈴が鳴り旅館の仲居さんが入って来る。
「お食事のご用意をさせて頂きますね。」
仲居さんの言葉に涼ちゃんと離れようとするのに涼ちゃんはガッチリと私を抱えている。

