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VERTEX
第15章 迷子…
神様…!?
恐る恐ると振り返る。
小さな私の前には白いTシャツしか見えない。
そのTシャツの人に身体を通路の壁に追い詰められて押し付けられる。
「ひぃっ!?」
身体が竦んで俯いた。
「え?ねぇ…、大丈夫ですか?」
なんとなく聞き覚えのある声がする。
ゆっくりとその声がする方へと顔を上げる。
かなり見上げないとその正体が見えて来ない。
どんだけー!?
そう思った瞬間、蒼い瞳が私を見下ろしているのが見えて来た。
「ミケさん…?」
「うん、お姫様はこんな場所で何をしていたの?」
ニコニコとしてミケ猫が私に聞いて来る。
今の状況で私は何故か巨大な金髪猫に壁ドンをされている。
「涼ちゃんの…、RYOJIの控え室を探してます。」
「それは…、迷子という事ですか?」
クスクスと猫が笑っている。
「迷子です…。道を教えて下さい。」
恥ずかしくて顔が赤くなるのがわかるけど背に腹は変えられない。
「送ってあげるのはいいけど…。」
ミケさんの手が私の顔に触れて来る。
「送ってあげたら、お姫様はどんなご褒美を僕にくれますか?」
そう言って私の顎を指先で撫でて来た。
何っ!?
この人!?
和美さんが女癖が悪いとか言っていた。
「国崎さんに怒られますよ!」
「美波?美波はもう別れましたよ。」
「へ?」
「週刊誌に熱愛報道をされた途端に美波の所属する事務所から交際の事実はないとか言われて連絡が取れなくなりました。」
テレビを見ない私にはそんな報道の事実すら知らなかった。
「別に美波とは本気で付き合っていたつもりはなかったのですが…、美波が悪女だとかいう言われ方だったみたいなのでVERTEXも、これ以上は美波をイベントには使わないと決めた事は聞いてませんか?」
流暢な日本語で話すミケにふるふると首を横に振っていた。