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VERTEX
第15章 迷子…



涼ちゃんの控え室に行くまで勇気君と話をする。


「霧島さん…、体調が悪いのか?」

「なんで?普通だよ。」

「来年のトーナメントに出ない事が決定したんだ。だから来年の頂点はRYOJIさんの可能性が高いって噂なんだよ。」

「嘘っ!?」


涼ちゃんが頂点になるなんて聞いてない。


「本当に知らなかったのか?」


驚く私に勇気君も驚いた顔をする。


「何も聞いてないよ。」

「あくまでも噂だ。だけど霧島さんが頂点を降りるつもりなら、ミケさんとか霧島さんを倒して頂点を取るつもりで居るし、RYOJIさんの対戦相手も次の頂点を取らせないつもりで挑む事になる。」


霧島さんが頂点を降りて涼ちゃんがチャンピオンになれば涼ちゃんが来年の頂点になる。

だけど霧島さんが頂点を降りる場合、他の選手にもチャンスが生まれるからと今のVERTEXは殺気立っていると勇気君が言う。

霧島さんの体調が悪いなんて全く聞いていない。

静香さんだっていつも通りで私とここに来るまでは相変わらず緊張をするとボヤくだけだった。

最近はお腹の赤ちゃんが動くから霧島さんがお腹にばかり話し掛けると愚痴ってたくらいだ。


「減量が辛いって話ならしたけど…。」

「減量程度の話で頂点は降りないだろ?」


そう言われても私にはわからない。

そんな話をしている間に涼ちゃんの控え室の前に着いた。


「待っててやるから行って来い。どうせ帰り道もわかんねぇんだろ?」


歳下の勇気君に頭をガシガシと撫でられた。


「ちゃんと待っててよ。」

「うわっ…、お前、やっぱり偉そうな奴。」


笑う勇気君を残して涼ちゃんの控え室の扉をノックする。

ドキドキとする。

自分から控え室に来たのは初めてだ。


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