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VERTEX
第16章 受験生…



「理梨…、ちゃんとご飯を食べないと…。」


ぼんやりとする私に涼ちゃんがそう言う。

涼ちゃんはほとんど食べていない。

なんで私だけがご飯を食べるの?

頭がはっきりとしない。


「疲れたの…。」


呟くようにそう言っていた。


「早く寝かせた方がよくないか?」


霧島さんが私の心配をしてくれる。

私が霧島さんの心配をしなければいけないのに…。

そんな簡単な事すら出来ない今の自分がますます嫌になって来る。


「ひとまずはホテルに行こう。それでも具合が悪いなら病院に連れて行く。」


涼ちゃんが私を抱きかかえるようにしてジムの食事会から連れ出していた。

ホテルに着き涼ちゃんと部屋に入る。

備え付けのソファーに座らされて涼ちゃんが私の頭を撫でて来る。


「水…、飲むか?」


涼ちゃんの質問に頷くだけ…。

涼ちゃんに聞きたい事がいっぱいあったのに…。

それを聞いてなんの意味があるのだろうとか考える。


「約束だから…、理梨が知りたい事は全部答えてやる。まずは何が知りたいんだ?」


涼ちゃんが私の顔を撫でて聞いて来る。


「涼ちゃんが頂点になるの?」


ぼんやりとした頭で聞いていた。


「それは…、わからない。VERTEXのルールで翌年の頂点には年末のトーナメントチャンピオンがなると決まっている。それに合わせて年末までのファンによる人気投票の集計も必要になるから必ずしも俺がなるとは限らない。」

「そもそも、なんで霧島さんが頂点を降りるの?」


ファン投票では霧島さんの人気がダントツだ。

既に3年連続を頂点として君臨して来た霧島さんが何故今更に頂点を降りてVERTEX内を争わせるような事をしているのかが理解出来ない。


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