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第17章 間違ってる…



緊張感のない学校…。

受験の為の試験だという雰囲気を全く感じない。

せいぜい、定期テストの感覚。

試験科目が少ないから定期テストよりも楽だと誰もが笑っている。

必死になるほどの短大ではない上に自宅で専用の家庭教師が付いているお嬢様ばかりの学校ではそんなものだと思う。


「卒業まで理梨ちゃんはどうしますの?」


ニコニコと笑顔で咲良ちゃんが話し掛けて来る。


「どうって…。」

「皆さんと卒業旅行とかしませんか?」


珍しく咲良ちゃんが他の子と話をしている。


「あー…、旅行ね…。」


お嬢様達は合格が決まった瞬間から海外へと旅立ったり車の免許取得の合宿に消える。

私は合宿は無理だから近所の教習所通いをする予定にはなっている。

車が無ければ不便な田舎町。

さすがに運転手付きなほどのお嬢様は咲良ちゃんくらいだから…。


「教習所には行くけど…、旅行まではちょっと時間的に無理かな…。」


咲良ちゃんに苦笑いをして答える。

私の場合は下手に旅行に行くなどと言えば涼ちゃんがついて来かねない。


「あら…、残念ですわ。」


そう答えると咲良ちゃんはお嬢様グループの中へと向かった。

お嬢様達の今回のお目当ては咲良ちゃんの家の運転手だと思う。

旅行に行くのに咲良ちゃんと行けば必然的に運転手さんがついて来てくれる。

学校生活では咲良ちゃんは面倒臭いけど利用をするなら仲良くしておこうと手の平を返す。

卒業旅行…。

そんな話題に夢中な学校と私は隔たりを感じる。

短大では多分、内部生とは付き合いを続ける事はないとか考える。

外部生はお嬢様が少ないと聞いている。

単純に滑り止め感覚で受験をする人が多いらしい。

目標大学に行けなくとも、浪人するくらいならとうちの短大にやって来る。


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