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VERTEX
第17章 間違ってる…
短大でも保育士の資格や教員免許は取得が出来る。
この田舎町じゃ、そういう資格が必要になる。
この田舎町で何もせずにのんびりと暮らす。
退屈な田舎町…。
だけど、それが涼ちゃんの望む未来…。
東京に出たいとかは思わない。
それでも退屈なのはどうにかしたいと考えてしまう。
試験を無事に済ませると受験から解放された学生達がキャーキャーと湧き上がる教室の中で未来が見えない私だけがため息をついていた。
「だから…、サイン会には行かない。」
「えーっ!?やだよ。理梨の分の新幹線もホテルも予約をしたのに…。」
「去年の事を忘れた?」
「だから…、今年はそんな事にならないようにする。」
私の顔を撫でてキスをする。
今は涼ちゃんの家のベッドの中…。
涼ちゃんの手が私の身体を撫でて来る。
「こらっ!」
「そうなるだろ?だから名古屋に行こうぜ。」
涼ちゃんが私の耳を舐めて囁く。
最後に涼ちゃんとしたのはいつだっけ?
そう思うくらいに涼ちゃんとしていない。
だから涼ちゃんは私をサイン会に連れて行きたがる。
その日ならホテルに泊まるから私と2人だけの時間が過ごせると涼ちゃんが言う。
身体だけが欲しい訳じゃないとか言ってたくせに…。
犬男を睨みつける。
「もう…、ほとんどデートとか出来なくなる。」
情けない顔で犬男がしょげる。
年末のビッグイベント前のテレビ出演もかなり入っているから確かにデートの余裕はない。
「わかった…。その代わりに去年みたいな事になるのだけはお断りだからね。」
「VERTEXのスタッフで理梨に失礼な態度をする奴はもう居ないはずだ。」
涼ちゃんが私の胸に顔を埋めて眠る。
しばらくその頭を撫でて涼ちゃんが完全に寝付くのを確認してから帰る。