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VERTEX
第17章 間違ってる…
「間違ってる?」
「間違ってますよ。理梨は何故Mr.RYOJIといつも居るのです?」
「だって…、涼ちゃんとは…。」
「恋人で結婚の約束をしたからですか?だけど理梨はMr.黒田を綺麗だと思っただけでMr.RYOJIに怒られている。綺麗なものを綺麗だと思う事も許されない関係は本当に理梨が望んだ恋ですか?」
ミケが真剣な顔で真っ直ぐに私を見る。
吸い込まれそうなその蒼い瞳にドキドキとして目を逸らす。
「僕を見て…、理梨。自分に正直になる事も理梨には必要な事ですよ。」
ミケが穏やかに笑っている。
「ミケは日本語が上手だね。」
話を逸らす為に聞いてみた。
「ああ、僕のグランパ…、祖父は日本人ですよ。」
「そうなの?」
「ミカエル・武井・アドハン。それが本名です。」
ミケが4分の1は日本人だと聞いても違和感しか感じない。
綺麗な金髪に深い蒼い瞳。
絵本に出て来る王子様そのもののミケ。
「家族はアメリカなんでしょ?なんでわざわざ日本に来たの?」
「大学をスキップで出たから、後はゆっくりと自分の可能性を試してみたかったんです。」
「可能性?」
「そう…、自分がどこまでやれるのか。VERTEXはまさにその可能性を試せる場所だと思ってます。」
ミケが頂点を狙っている。
「理梨だって可能性があるでしょ?理梨の可能性はMr.RYOJIに付き合ってVERTEXで小さくなる事じゃないはずですよ。」
チャラチャラしているイメージしかなかったミケにお説教をされていた。
ミケはよく食べてよく話す。
無理な減量や食事制限は嫌いなんだとミケが言う。
不思議なミケの話を聞きながら私も食欲が湧いて来てミケと2人だけの食事会を楽しんでいた。