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VERTEX
第2章 お迎え…
学校から帰るとまずは着替えを済ませてから学校の宿題などを済ませる。
勉強時間はせいぜい30分…。
5時を過ぎる。
「お母さん、そろそろ行って来る。」
「はーい…。」
お茶の間でワイドショーを見終わって台所へと移動をするお母さんに声だけを掛けて出掛ける。
毎日の日課…。
家から徒歩10分のジムに行く。
昼から涼ちゃんが練習をしているからだ。
何事も無ければ毎日、昼から涼ちゃんはジムで練習をする。
VERTEX所属の選手はその時間に練習をする。
夕方になれば子供達が練習に来たり、夜は社会人の時間になるから専用の練習が出来る昼間に練習をする。
プロのほとんどが働きながらジムに通う人ばかりのシュートボクシング。
ファイトマネーで生活が出来るのは霧島さんと涼ちゃんくらいしか居ないから、他の人の練習の邪魔にならない時間を目一杯に練習する。
それを迎えに行くのが私の役目。
練習にムキになる涼ちゃんは立てなくなるほどになる時がある。
それに私が行かないと後でしつこいくらいに私から離れようとしてくれない。
ジムの扉を開けた瞬間だった。
スパーンッ…
と心地よいハリセンの音がする。
「いい加減にしろ!お前がリングを占領してたら霧島の練習が出来ねぇだろ!」
「昨日の分もやりたいんだ。」
「昨日は昨日、今日は今日!」
「けど…。」
涼ちゃんが昨日の分も練習したいと会長さんに我儘を言ったらしい。
「会長、もう理梨ちゃんが来たから涼二を引き取って貰えるよ。」
篠原さんと霧島さんが笑っている。
「帰るよ!」
涼ちゃんに私がそう言うだけで涼ちゃんは素直にリングから降りて来る。
必ず私のところに駆け寄って来る犬男。
「シャワーして来る。」
そう言って私の頭を撫でてすぐにジムから帰る用意をする涼ちゃんを連れて帰るのが私の役目だった。